作者 | ゆっきぃ |
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ジャンル | 1人語り |
人数 | 1人 |
時間 | 10分 |
作者 コメント |
表で使うなら何もいじらないでください。裏で使う分にはご自由にどうぞ。 |
台本本文
キミが一つ嘘を吐く度に、ボクも一つ嘘を重ねる。
キミがどれだけの嘘を積もうとも、ボクはたった一つだけの嘘を吐き続ける。
どんな理由があってキミがそんなに騙そうとするのかわからないけど……それが不安で仕方ないんだ。
嫌われてるんじゃないか、本当は距離を取りたいんじゃないか、だから――そうやって嘘を吐くんじゃないかって。
でもさ。そうまでしてキミが隠したいことなんでしょ。
だったら、騙されていれば、いいんだよね。
知ってたかな。ボクはいつも演じているだけ。キミが望む反応を返してるだけ。
だってそうすれば、まだ傍に居ることが出来るから。
ほら、今日も仮面をつけて笑いながら言うんだ「大丈夫、気にしなくてもいいよ」。
果たして、騙されているのはどちらなんだろうね。
キミの嘘は複雑でわかりやすい。ボクの嘘は単純でわかりにくい。
キミが沢山重ねて来た言葉の中から、矛盾の数を数えてみようか。
それが、答えだよ。
ボクとキミ。
愚か者は、と聞かれたら間違いなくボクなんだろうけどね。
そんな嘘吐きにずっと執着して、依存してるんだから。
さあ、また舞台にあがらなきゃ。
キミの為になんていう建前で……結局はただ壊れないように傷を塞いでいるだけなのに。
今日はどの仮面をつければいいのかな。
「嘘吐き」
「バカにしないでよ」
そんな心の隅の本音を漏らさないように。
何度でも、何度でも。
「大丈夫、気にしなくてもいいよ」
気付くこともなければ傷付くこともないんだから。
キミが一つ嘘を吐く度。ボクも一つ嘘を重ねる。
仮面が壊れる時まで。
「――大丈夫。大丈夫だから。気にしなくても、いいんだよ」