やがて、春が来て…

演じた音源

台本本文

もうすぐ、春だ。花見シーズンだ。
病気が流行っているという事実は置いておいて、普通の花見シーズンだとして話を進めよう。

花見は、どんな人でも手軽にできる。
サラリーマンたちが集い、飲み会も兼ねた花見。
家族の団欒、ピクニック目的の花見。
そして、陽キャ…

そうだな。僕らを蔑み、除け者にするような奴らのことだ。

この中で僕らに害をもたらすのはなんだと思う？
よほど頭の出来が悪くなければ、そして自分の境遇が理解できていれば答えられるであろう。

……わからん。
そんな表情をしているな。
チッ。わかってるくせに…！

陽キャだ。
酔っ払って立ちションしてるおっさんじゃない！
楽しそうに笑いあう家族でもない！！！
陽キャだ！！！！

…熱くなってしまったようだ。すまない。
…話を続けようか。

あいつらは、
ぶっちゃけ花も酒も、周りですらどうだっていい。
自分たちが楽しければ、そして異性とイチャつければ、盛り上がってさえいればそれでOK、alright(オールライト)、最高です！だ。

それのついでに酒と、花見という口実がついてくるだけのくだらん話だ。
実に嘆かわしい。
おっさんサラリーマンの酒と加齢臭まみれの花見より哀れだ。
花見だというのに花なんぞどうでもいいむしろ桜の花を折る勢いだ。

あいつらはそれだけじゃ飽き足らず、非リア、陰キャ、オタク、ニートを馬鹿にするのだ！！
「田中クゥン、外楽しいよwって言ってもわかんないかwwwwww」
だなんてッ！

外に出なくたって…
いいじゃないか…。
許さん…くそぅ……ッ。

……はぁ…。
…やがて、春が来て、変わっていく時代を、僕らは指を咥えて黙ってみてるしか、ないんだよ。
残念なことにね。